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【トピックス】『シン・デレラ』 童話の拡大解釈ホラーは「よい子の童話」に対する「現代ならではの回答」?

執筆者の写真: 黒野でみを黒野でみを

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10月25日に日本でも公開されることが決まっているホラー映画『シン・デレラ』。ちなみに「シンデレラ」とは、物語で登場人物であるエラという女性に対して「灰を被ったようなみすぼらしい姿」であるということを示す「灰かぶり姫(シンダーエラ)」という呼び名がつけられたことが起源であるといわれています。


『シン・デレラ』とはなかなかに思わせぶりな邦題。近年多くのB級作品で付与される『シン』という文言でありますが、オリジナルな物語に対する異議、みたいなポイントを突く作品という意味では、意外にしっくりくる物語であります


『シン・デレラ』

監督:ブラッド・トゥィッグ監督

製作国:イギリス・アメリカ合作

原題:Cinderella's Curse

公開:2024年

配給:ハーク、S・D・P

日本公開:2024年10月25日

 

『シン・デレラ』あらすじ




継母と義理の姉たちからの虐待に絶望的な毎日を送る女性・エラ。ある日、花嫁探しに訪れた王子から急な申し出を受け、彼女は舞踏会に呼ばれます。


有頂天になる彼女でしたが、継母たちの勝手な意思でそれが叶わず諦めかけていました。しかし彼女は庭で見つけた不思議な本によって召喚された魔法使いのフェアリーゴッドマザーの力で舞踏会への参加を叶えることに成功、憧れの王子と対面します。


ところが舞踏会への参加は王子や義理の姉たちの悪だくみで、エラは舞踏会に参加している人々の前でドレスを剥ぎ取られ辱めを受けてしまいます。泣きながら怒りに燃えた彼女は復讐を誓い、フェアリー・ゴッドマザーへの最後の願いを唱え……



 


1998年に出版された書籍『本当は恐ろしいグリム童話』。よい子に読み聞かせるの源流をたどるととんでもなく残酷でグロテスクな物語である、という事実を示したこの本でありますが、それはまさに「ホラー映画」の格好のネタではないか、といわんばかりに童話改変作品は目立って発表されるようになってきています。





たとえば子供向けの寓話として高い人気を誇る『クマのプーさん』。この物語をモチーフとしてとして2023年に大きな話題を呼んだホラー『プー あくまのくまさん』が発表されましたが、なんと2024年には続編『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』が作られるほどの注目作品となりました。


一方でホラーではない『プーと大人になった僕』のように拡大解釈が試みられるなど、いわゆる「子供の時の思い出」という感覚から、今につながる違和感を払拭したような作品が近年発表されてきています。



そしてバイオレンス「童話」的な作品として他にも『ヘンゼルとグレーテル』(2007)、『赤ずきん』(2011)、『マッド・ハイジ』(2022)『メリーおばさんのひつじ』(2023)や本作『シン・デレラ』などの作品が出現、さらに10月18日に日本でも公開される『邪悪な国のアリス』と、このジャンルの勢力が伸びていることがよくわかることでしょう。






そこには幼いころに「いいお話」として聞かされたことへの、何らかの疑問が大人になってからの疑問に対する答えであると受け止めることもできます。「いい話だけでは、人は生きていけない」そんな痛烈なメッセージすら見えてくるような気もします。




『シン・デレラ』に登場する主人公の女性は、確かに恵まれない境遇に生まれ、生きてきましたが、果たしてそんな中にいても「聖者」である問いかけをしているようでもあります。






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