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【映画レビュー】『ヘルボーイ ザ・クルキッドマン』 ブライアン・テイラーの本質的世界観!大きく覆される「コミックらしさ」

  • 執筆者の写真: 黒野でみを
    黒野でみを
  • 7月1日
  • 読了時間: 5分
Copyright (C) 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved.
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今回紹介する作品は、人気コミックの実写化映画シリーズ最新作『ヘルボーイ ザ・クルキッドマン』。


「赤鬼」を彷彿する強烈な個性をもった主人公を中心に展開するこのシリーズですが、「今回のヘルボーイの活躍やいかに…」という既定路線の予想などを大きく覆される、独特の世界観を実現した、文字通りの「ホラー映画」と仕上がった印象。物議必至ながらかなり見応えのある作品であります。

【概要】

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マイク・ミニョーラ原作の人気アメリカンコミック「ヘルボーイ」を実写化したアクションホラー。原作漫画の中でも特に人気の高いエピソードといわれている「捻じくれた男」を映画化しており、原作者のミニョーラが脚本づくりに参加しています。


監督は「アドレナリン」シリーズ、『ゴーストライダー2』『マッド・ダディ』のブライアン・テイラー。ヘルボーイを『アウトポスト』『デッドプール2』のジャック・ケシーが演じます。


2024年製作/99分/G/アメリカ

原題:Hellboy: The Crooked Man

配給:クロックワークス

劇場公開日:2025年7月5日


【監督・共同脚本】

ブライアン・テイラー


【出演】

ジャック・ケシー、ジェファーソン・ホワイト、アデライン・ルドルフ、リア・マクナマラ、スザンヌ・バーティッシュ、ジョセフ・マーセル、マーティン・バシンダル、ハンナ・マーゲットソンほか


【あらすじ】


Copyright (C) 2024 HELLBOY PRODUCTIONS, INC. All Rights Reserved.
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1950年代のアメリカ。超常現象調査防衛局(B.P.R.D.)の捜査官ヘルボーイと新人エージェントのジョーは、移動中の貨物車の中で突然のトラブルに見舞われます。


そしてその事件をきっかけに、アパラチアの山奥にある村をおとずれます。ここでは不治の奇病など奇怪な事件が相次いでおり、村人たちはその理解不能な現象に常におびえていました。


事件のすべては「歪んだ男」と呼ばれる悪魔の仕業であることを聞かされるヘルボーイたち。そこにトム・フェレルという男が村に戻ってきます。


「20年前に、悪魔と契約して魂を奪われた」と語るフェレル。彼の帰還は、その村にまつわる呪われた因縁を呼び覚まします、そして……。


【『ヘルボーイ ザ・クルキッドマン』の感想・評価】

大人気シリーズだからこその「裏切り」!「コミックらしさ」を打ち消し大胆に構築した世界観

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人気コミック『ヘルボーイ』の実写化が初めてなされたのが2004年。以後『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』、『ヘルボーイ』(2019)と度々実写化がなされ、主人公ヘルボーイを演じてきたのがロン・パールマン、デビッド・ハーバーと、わりと「個性的なルックス」をもつ俳優(笑)が担当する傾向にありました。


これに対し今回は、どちらかというとイケメンな部類ともいえるジャック・ケシーが担当、演出的にもかなりクールなたたずまいを見せることもあり、かなり変わった印象を受けることでしょう。


物語の時間軸としては1950年代。初期映画『ヘルボーイ』の設定がわりに近代に近い設定であり、パールマンが演じたヘルボーイがどちらかというと幼く破天荒な感じであったことを考えると、時間経過からすると若干違和感もあり賛否を呼ぶ可能性もあるといえるでしょう。但し、この「クールなヘルボーイ」の演出は物語全体の雰囲気、空気感からすると重要な要素であるともいえます

人気コミックの実写化作品としては『ジョナ・ヘックス』『ゴーストライダー2』と実績もあるブライアン・テイラー監督にとって、実写化というマターはピッタリともいえるこのお題。一方で、本作の雰囲気はこれまでの『ヘルボーイ』には見られない、斬新な演出が感じられます。


コミックの実写化は、どこかに「コミック」らしいキャッチーさがまぶされる傾向も多く見られますが、本作はヘルボーイという異形のキャラクターが登場しながらも、その落差を感じさせない「正統派ホラー」的空気で全編が描かれています


悪魔という抽象的な恐怖要素をどのように描くのかが、この物語のポイントでありますが、ある意味「コミックらしさがない」イメージはよい意味で裏切られる感じでもあります。

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その点を考えると、テイラー監督の起用は前者の実写化作品における実績よりは、2017年に発表した異色スリラー『マッド・ダディ』における狂気の評価によるものという印象も見えてきます。


一方で「ひょんなきっかけで全く関係ない場所の事件に巻き込まれるはめに」という展開は、人気アクション映画『インディージョーンズ/魔宮の伝説』を彷彿するもの。一方、上記画像に見られる女性と白馬のイメージは、2009年に発表されたロブ・ゾンビ監督の『

ハロウィンII』を思い出す人もいるのではないでしょうか。


この作品は『ヘルボーイ』シリーズとして異色ともいえる、ハッキリした実体の見えない敵との戦いが描かれた作品であり、かなり作品作りとしてはハードルの高いもの。その意味で上記のようなふと気が惹かれるポイントは、数少ないキャッチーなポイントであるともいえます。

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また注目ポイントは音楽にもあります。要所で使われるのは古き良き時代のポップスもあれど、ダイナミック感、高揚感をあおる音はまず使われず、「まさにホラー!」を思わせる、不安感をおぼえさせる不気味なサウンドばかり。特にエンドロールに流れる音楽は、「あれ?『ヘルボーイ』を見たんじゃなかったっけ?」とかなり強烈な肩透かしで不思議な感覚をおぼえさせられることでしょう。


人気コミックの実写化という概念を逆手に取り、かなり大胆な世界観を構築した印象もある本作。賛否が予想される物語ではありますが、ホラー映画の新しい方向性を求める人には響く作品であるといえます。


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