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【映画レビュー】『三日葬/サミルチャン』 韓国の伝統習慣をモチーフに描いたホラーでパク・シニャン、イ・ミンギの二大俳優が激突!

  • 執筆者の写真: 黒野でみを
    黒野でみを
  • 7月25日
  • 読了時間: 4分
(C)2024 SHOWBOX AND I FILM CO, LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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今回紹介する作品は、韓国ホラー映画『三日葬/サミルチャン』。


韓国の人気俳優パク・シニャン、イ・ミンギという二大巨頭のぶつかり合いもさることながら、韓国ならではの葬式という場面で「悪魔祓い」などさまざまなテーマをミックスし展開させた、優れたエンタメ性を感じさせるホラー・ストーリーであります。


【概要】

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韓国の伝統的な葬儀様式「三日葬(サミルチャン)」をモチーフに、最愛の娘の死から始まる3日間の恐怖と絶望を描いたホラー映画。


本作が長編デビューとなるヒョン・ムンソプが監督・脚本を務めました。


主演はドラマ「パリの恋人」「銭の戦争」「サイン」のパク・シニャン。共演にはドラマ「この恋は初めてだから」のイ・ミンギ、『新感染半島 ファイナル・ステージ』のイ・レらが名を連ねています。


2024年製作/95分/G/韓国

原題:사흘(英題:Devils Stay)

配給:クロックワークス

劇場公開日:2025年7月25日


【監督・脚本】

ヒョン・ムンソプ


【出演】

パク・シニャン、イ・ミンギ、イ・レ、キム・ギチョン、ユン・ジョンソクほか


【あらすじ】


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優秀な心臓外科医として名を馳せるチャ・スンドは、心臓疾患を抱える愛娘ソミのため、自らの手で移植手術を行います。


手術は無事に成功しますが、回復直後よりソミは異常な行動をおこし、何者かに取り憑かれたような様子を見せていきます。


一家は決心し、パン神父に悪魔祓いを依頼します。壮絶な儀式の末、ソミは一時的に正気を取り戻しますが、そのまま亡くなってしまいます。 そして3日間にわたるソミの葬儀の中で、スンドは死よりも恐ろしい体験をしながら、とある一つの秘密を知っていくのでした……。


『三日葬/サミルチャン』の感想・評価】

クロスカルチャー、社会性の絶妙な融合とパク・シニャンらが見せる抜群の存在感

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物語は壮絶な「悪魔祓い」の儀式から始まり、謎を残したままの失敗、そして葬儀という流れで進んでいきます。葬儀の間に突然現れるショッキングなシーンは、わりにホラーとしてはオーソドックスな表現を用いつつ、ホラーファン以外の人たちにも十分アピールする作品という仕上がりを見せています。


『メタモルフォーゼ/変身』『ディヴァイン・フューリー/使者』など、韓国発のホラーではわりに取り上げられる傾向にもある、いわゆる「悪魔祓い」系のジャンル。


なんとなく日本の文化と似た傾向がありながら、宗教的には「キリスト教が強く支持されている」など、あまり意識されていない違いに、ある意味スポットが当てられているようでもあるこのテーマは、世界的に見ても興味深いポイントであります。


一方で韓国の伝統的な葬儀方式である「三日葬」、死者を三日の期間をかけて弔うというしきたりは儒教から受け継がれたものであり、「悪魔祓い」にまつわる文化とは若干趣を異にする文化。



人の死の中でこのように異文化が交差する韓国ならではの一場面を描いている点においては、『エクソシスト』以降にホラー作品で定番的に取り上げられるようになった「悪魔祓い」系ジャンル作品としては非常に興味深い物語であります。


またクライマックスに向けて明らかになっていく謎の中に「人間の傲慢さが招くしっぺ返し」のような構図が描かれているポイントにも注目、


宗教的な側面の一方で、単に「怖がらせるホラー」では終わらせない、恐怖の奥にある現代社会の闇のような視点が感じられます。


現代韓国のエンタテイメントに見られる「社会性を含ませ深みを持たせる」作品となっているといえるでしょう。


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俳優陣としては、懸命に「悪魔祓い」を続けるイ・ミンギの表情も魅力ですが、注目はやはりパク・シニャン、イ・レの愛情あふれる親子ぶり。イ・レは若手ながら、父を愛する子とおぞましい何者かに取り憑かれた人間の表情を絶妙に表現しています。


その我が子をこよなく愛する父を演じたパクの存在感も、物語の主軸としては大きなものであるといえます。パクの代表作の一本でもある「町の弁護士チョ・ドゥルホ」(2016)で彼は、目的のためには手段を選ばない、破天荒ながら正義感の強い弁護士役を演じました。


芯が強く揺るがない一方で、愛情が深く子供には極端に弱いというその特徴的な性格をパクは表現しましたが、この物語で彼が演じた医師スンドは、まさにそのイメージがピッタリ。

強固な親子の愛情をむしばむ異形との戦い。物語の構成より深く練られた、安心して見ることができるエンタメ・ホラーであるといえるでしょう。

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